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<<   作成日時 : 2011/07/07 22:00  

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とある国に、七人の乗り手と呼ばれるおとぎ話がありました。
国に伝わるおとぎ話の一つで、子供達には大層人気があるものでした。
それはこんな話でした。


昔々とある国に、七人の乗り手と呼ばれる騎士がおりました。
一人一人が大層強い騎士で、七人揃えば敵はいなかったと言われていました。
とてもとても強い騎士たちがいるから、この国は安心だとみんなが思っていました。

そんなある日のこと、とある国に隣の国が攻めてきました。
「大変だ、大変だ!」
「どうしようどうしよう!」
みんなは逃げようとしたり、食べ物を買おうとしたり大慌てです。
そんなとき、誰かが言いました。
「そうだ、七人の乗り手に頼もう!」
「そうだそうだ!」
これで安心だとみんなが言いました。

でも、王様だけは困っていました。
七人の乗り手にはそれぞれ違う国に遣いに行ってもらっていたのです。
どれも遠い国ですから、今から呼び寄せても間に合いません。
困った王様は皆に言いました。
「みんな、七人の乗り手はいないんだ!だからみんなで戦おう!」
驚いたのは国民のみんなです。今まで七人の乗り手に任せていたのに、いきなり戦うなんてできません。
それでも、もう敵はそこにいるのです。

王様はもう一度言いました。
「みんな、勇気を出して戦おう!勇気を出せば、七人の乗り手のように戦える!」
慌てたり困っていたみんなは、王様の言葉を聞いて勇気を出しました。
みんな武器を持って、勇敢に戦ったのです。
今度は隣の国が慌てました。
七人の乗り手がいないと思って攻めたのに、みんなが反撃してきたのです。
これはいけないと思っているうちに、丘の上から声が聞こえました。
「待たせたな!」
七人の乗り手が戻ってきたのです。
みんなは喜び、一層勇敢に戦いました。
七人の乗り手と一緒に戦って、ついに隣の国を追い返したのです。

戦いが終わった後、王様とはみんなに言いました。
「勇気を合わせて戦えば、どんな敵にも勝てるんだ!これからは、みんなが七人の乗り手だ!」
みんなは大いに喜び、勝利の祝いのお祭りは1週間続いたそうです。
それからはみんな力を合わせ、幸せにくらしましたとさ。

めでたしめでたし




ここまでが子供たちの知っているおとぎ話。
しかし、この話はあくまでもおとぎ話。
元になった本当の話があることを大人たちは知っていました。
それは、こんな話でした。




自分たちの国を望む小高い丘の上に、七人の騎士がいた。
そこは隣国に攻められて煙が方々から上がっていた。
それぞれが率いる騎士団は無双の強さを誇り、7つが合わさればまさに敵なしと言われていた。
しかし、団長の留守を狙われればこのようなものである。簡単に国は落ちる。
指揮官が秀ですぎたために、それに次ぐものがいなかったのである。
騎士達は悔いた。それでよいと思っていた自分たちの驕りを。
そしてもう一つ、なぜその事態を怪しまなかったのかということを。

所用があると言われてそれぞれ違う国に派遣された時はおかしいとは思った。
しかし平和な国である。同盟の使者として軍の象徴が行くのはまあ理解できると思った。
争っている国もいなかった。それ故にそれぞれが別の国に走った。
その隙を狙われたのだ。
そしてその先で命を狙われた。
連れて行った僅かな手勢は打ち取られ、各々自分の命のみを持ち帰るのが精々であった。
それも含めて、すべてが罠であったのだろうと今ならば思える。
しかし、今となってはすべてが遅い。
もはや国は滅びかけている。隣国の手に落ちようとしている。
煙の数がまた増えたのを見ながら、ある騎士が口を開いた。
「さてと、どうする?」
「どうするか……どこに逃げようとも恐らく命はないだろうな」
「そうだよな。だから俺は、妻に会いに行こうと思う」
しばしの沈黙の後、仲間がそれに続いた。
「いいな。それ」
「奇遇だな、俺も会いに行こうと思っていた」
「じゃあ、決まりだな」
ニヤリと笑って、最初に口を開いた騎士はその薬指に口づけた。
そして嵌めていた指輪を外す。
それを地面に埋めると、装具を付けて馬に跨った。
全ての騎士がそれに続いた。
馬がいななく。主が何をしようとしているか理解し、それに従うという意志を決めたのだ。
「じゃあ、行くか」
『おお!』
槍を掲げ、七人の乗り手が丘を駆け下りる。
そこには七つの墓標が残されていた。
彼らの妻と、その息子たちの。


その後、たった七人の乗り手によって侵攻軍は撃退されたという。
一騎当千の戦いぶりですべての敵兵を打ち倒したという説もあれば、
その場で国民を指揮し、即席の騎士団を作って反撃したとも言う説もある。
しかし、事実はただ一つ。
七人の乗り手によって国は守られた。それだけである。
そして彼らはその言葉通り、彼らの家族の下へと帰っていったという。それだけである

その意志を忘れることなく、得られた平和を失うことの無いように、その国では年に一度大きな祭りがあるという。
七人の乗り手のおとぎ話が伝えられた、そんなとある国の話。
その国はいつまでも平和であったという。

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